コンテンツに進む
LINE登録でもらえる10%OFFクーポン

「サイズが違っていた」と言われた日

試着室の入口。半開きのドアと、椅子にかけられたガウン、サイドテーブルに置かれたメジャー

※この物語は、2026年2月に実施した顧客インタビューでの実際のやりとりをもとに構成しています。ご本人が特定されないよう、年齢・地域などの情報は伏せ、発言はご本人の同意のもとで使用しています。

2月、フィッティングルームの前に、その日ぶんの予約表が置かれていた。名前の横に並ぶのは、アンダーとカップの数字。記入されたのは半年前、あるいは何年も前のものだった。写真を1枚撮って、ガウンを1枚渡して、ドアが閉まる。中から聞こえてくるのは、鏡の前で交わされる短いやりとりと、生地がこすれる小さな音。この日、7人がひとりずつ入れ替わりで部屋に入った。共通していたのは、誰ひとり「自分のサイズを知っている」ということを疑っていなかったことだった。

小さいと思っていた

くだけた雑談から始まった。今日はいろんな下着を試してもらう日です、と告げられると、その人は笑った。若い頃からバストが小さいことに悩んでいて、今はもう半ば諦めている、と話していた。ブラジャーに求めることは多くなく、「あまり苦しすぎず、でもちゃんとホールドしてくれること」だけだと言っていた。通販でしか買ったことがなく、店頭で測ってもらう機会も、これまでほとんどなかったのだという。

フィッティングが始まって数分後、担当者が持ってきたのは、それまで着けていたよりカップがひとつ大きいサイズだった。着けてみると、それまでの窮屈さが消えていた。

「えっ、Dでいけるんですか。ずっと自分は小さいと悩んでいたので」

驚きは、そこで終わらなかった。もうひとつ別の型を着けたあと、鏡の前でこう漏らした。

「すごく良かったです。『私、こんなにあったんや』って思えました」

長年「小さい」と思い込んでいたカップの数字は、着け方ひとつで変わった。この人が悩んでいたのは、バストの大きさそのものではなく、それを支えられていなかった数年間だったのかもしれない。

反対の驚き

次の人は、逆の反応を見せた。ふだんは体に沿う服の日だけ、パッドの入ったタイプを選んで着けていた。ぴたっとした服にそれを合わせると、実際より豊かに見えてしまうのが、ずっと気になっていたのだという。

「カップインブラをつけるとすごい大きくなって、『私、こんなにないのに!』と、逆に『ちょっといいのかな?』という感じはあります」

それより前、何が気になるかと聞かれて、この人はこう答えていた。「どうしても、途中でこう直さないといけないんです。フィッティングの仕方が悪いのかもしれないですし」。ズレたら、その都度直す。それが当たり前だと思って、何年も過ごしてきた。

担当者がまず直したのは、サイズではなく着け方だった。アジャスターの長さ、ホックの締める段、脇のお肉の入れ込み方。ひとつずつ調整していくと、それまでゆるく感じていた着け心地が、はっきり変わった。

「全然違う。結構ゆるゆるに使っていました」

フィッティングが終わったあと、この人はこう言った。

「付け方や、ホックの位置、根本的に間違っていました。自分を甘やかしていました」

数字は、実はそれほど間違っていなかった。間違っていたのは、その数字の使い方のほうだった。

家に帰ってから

その日、最後の人は、以前ラディアンヌのブラを使わなくなっていた。「何個か持っているんですけど、全部カップがすごいブカブカになってしまって」。きれいに着けられた日はいいけれど、自分でやるとどうしても浮いてしまう。そう感じてからは、ずっとパッド付きのブラトップに頼っていたのだという。担当者が新しいカップの厚みとサイズを合わせて出してきたとき、その人は静かに驚いていた。

「全然いいと思います。収まっているし、浮きもない。動いてもパカパカしないです」

会話の終わりに、この人はひとつだけ、伝えておきたいことがあると言った。

「今日みたいに付けてもらうと収まりがいいんですけど、家で自分でやると『あれ? これであっているのかな?』と難しく感じてしまうのが悩みです」

その日いちばん印象に残ったのは、驚きでも、満足でもなく、この一言だった。

この日担当した7人のうち、驚くほど多くの人が、同じ構造のことを口にした。「自分のサイズを勘違いしていた」。ただし、その勘違いの向きは一様ではなかった。小さいと思っていたら大きくなった人。大きく見えることに戸惑った人。数字は合っていたのに、着け方そのものを知らなかった人。数字がずれていたというより、数字を確かめる機会そのものが、これまでなかったのだと思う。

そして、最後に残った言葉がいちばん重かった。担当者の手で正しく着けられたブラは、翌朝、自分の手で同じようには着けられない。フィッティングの結果は、家に持ち帰った瞬間、また不確かなものに戻ってしまう。

私たちが何年もかけて向き合っているのは、この「持ち帰った後」の空白なのだと思う。

ラディアンヌは、フィッティングの場にしかなかった知識を、誰にでも届く場所へ開いていくことを掲げて始まった会社だ。測り方のページを作り、この読みものを書いているのも、その続きにある。あの日、部屋の中でだけ起きたことを、部屋の外でも起きるようにすること。まだ途中だけれど、やめるつもりはない。

7人分の予約表は、その日のうちに片付けられた。数字はカルテに残り、着け方の記憶は、それぞれの家に持ち帰られた。うまく再現できるかどうかは、まだ誰にもわからない。わかっているのは、あの部屋で交わされた「えっ」という声が、7回のうち何回か、確かに聞こえたということだけだ。

ご自宅でサイズを測ってみたい方へ:サイズの測り方(公式ページ)

ラディアンヌという会社の原点は、こちらに書いています:ラディアンヌストーリー